プロンテラJob Masters祭2005開催…プロンテラ

2006.02.15

審査基準や受賞候補者の突然の不祥事、そして毎年巻き起こるアサシン・ローグ部門の是非を問う声が予想以上に大きかったため遅れに遅れたJob Masters祭2005が、プロンテラホールで開催された。開催委員会は結局アサシン・ローグ部門の賞の授与を反対する委員とそうでない委員で真っ二つに割れ、反対派が「ローグ・アサシン部門を廃止しないのならば我々は協力しない。Job Masters祭2005は中止だ」と強気の姿勢を見せたところ、賛成派は「お好きにどうぞ、此方で勝手にやらせて頂きます」と反対派以上の意志の固さを見せつけ、結局今年もローグ・アサシン部門は例年通り授与が行われることになった。

※:読者の皆様からハンター部門とノービス・スーパーノービス部門が掲載されていないというお問い合わせを多く頂きました。

ハンター部門が掲載されていないのは記者のミスであり、執筆を担当したGrace記者には罰として重量50%以上の状態で首都プロンテラ30周の懲戒処分としました。またノービス・スーパーノービス部門に関しましては、職を生かした功績の基準の判断が難しいこともあり、Job Masters委員会としては今後も授与を見送る方針だという返答を頂きました。

ハンター部門の授与者は今回の記事の修正で掲載させて頂きましたので、何卒宜しくお願いいたします。

◆ハンター部門

ハンター部門を制したのはプロンテラに住むハンターTim氏だ。

彼はその甘いマスクとハスキーボイスで幾多の女性を口説き落としてきた正に恋の狩人である。有名どころでは攻城戦にて覇権を狙う大手ギルド「Sacrifice Dinner」のマスターMint嬢や、同じく大手ギルド「Scarlet of Vampire」のマスターのJackie氏の愛人であるRemilia嬢を口説き落とした経歴がある。両ギルドが激しく対立しているのはTim氏が原因だという噂もある程だ(現在、この二人と交際はしていないようだ)。それを裏付けるかの様に彼は一度何者かに命を狙われ重傷を負ったが、それでも女性を口説くのをやめようとはしない。また、彼は一度に複数の女性と関係を持つことは無く、次の女性を口説く時は必ずそれまでの仲を清算してから口説きに行くのだ。

現在彼がアタック中なのは大聖堂で五本の指に入るほど強いという武装神官(殴りプリースト)Tina嬢である。トレーニング中の彼女に一目惚れした彼は早速Tina嬢を口説こうと近寄ったが、その場で睾丸の片方を捻り潰され病院へ搬送された(会場に来ていた男性が思わず前のめりになっていた。)

幸いすぐに手当てを受けた為彼の相棒は復活したが、それ以来彼はTina嬢の虜だ。

「ちょっと胸をお尻を触ったらコレさ。ハッキリ言って刺激的すぎたね。ボクは必ず彼女を虜にしてみせるよ」とTim氏は清々しい顔で語ってくれた。

幾多の女性のハートを射止め、また狙った獲物は絶対に諦めないという姿勢は正しくハンターの鑑と言えよう。

◆ナイト部門

ナイト部門で受賞したのは、平民出身ながらで主を持ち、見事与えられた領土を治めるまでに出世したWonka氏。

現在、ルーンミドガッツ王国に居る騎士達はその大半が主君も領土も持たないフリーランス達だ。無論ギルド単位でそのギルドのマスターと主従関係を結ぶ騎士も居るのだが、領土を与えられるような事は無い。フリーランスの騎士達はその多くが剣士時代に武功を立てて騎士の称号を得たいわば成り上がりであり、他の冒険者達と共に洞窟に潜っては財宝を求める生活を送っている。また、自ら進んで己が仕えるべき主君を求めているわけでもなく、そのせいか世襲制を取る騎士達の中には彼らを見下す者も居るようだ。

しかしWonka氏はとある貴族に召抱えられ、領地を与えられ城主となった。もとの身分を考えればこれは大きな出世と考えられるだろう。彼には是非良き領主として、騎士達の手本になって貰いたい。

◆クルセイダー部門

今回クルセイダー部門を受賞したのは、只管鎧の装甲の厚さにこだわり続け総重量150kgにも及ぶ甲冑を着てアンデッドの討伐に望んだAugustus氏。当然戦場でまともに動けるはずは無く、ほぼ自己満足であったと思われる。そのような重装備で戦いに赴いた(赴こうと思った)者は今までに居なかったので、Augustus氏にクルセイダー部門の賞が送られた。

ただし、戦場ではその余りの巨大さから通路を塞いでしまったり滑車で他人に引っ張ってもらわないと移動できなかったりと迷惑極まりなかったので、同じクルセイダー仲間から文句を言われ、次回からは普通の装備で出撃するようだ。

Augustus氏は「俺は鉄壁の盾になりたかっただけなんだ。仲間を守る盾に…」としょんぼりしていた。

◆プリースト部門

プリースト部門を制したのはマッシブ・プリーストのpulyotte氏。「プリ夫」の愛称で親しまれている彼は生粋の殴りプリーストだが、寧ろ如何に体を美しく鍛えるかにその情熱を傾けている。彼曰く「メイスを振るう筋肉が世界で一番美しい」らしい。

そして男性プリーストの服の前が肌蹴ているのは美しい大胸筋を見せるためであり、これは神のご加護なのだそうな。

プリーストの職とは余り関係の無い授与となったが、寧ろプリーストだからこそ賞を得られたとも考えられる。

◆モンク部門

モンク部門からは格闘試合でペコ卵級、オーク級、グランペコ級、ゴーレム級、ロードオブデス級全てを制覇したBeauregarde氏が登場だ。彼は最初ペコペコ級だったが、やがて全ての級を制覇することを誓い減量と増量を繰り返した。そしてとうとう彼は全てのタイトルを手にしたのだ。

ペコ卵級チャンピョンはウータン族のOompa Loompas。小さな体が生み出す素早い動きにBeauregarde氏も苦戦させられた。
しかし

オーク級からはオーク族のMacho Takasakiが立ちはだかる。
体は小柄ならがも限界まで供えた筋肉が生み出す拳は強烈で、
タカサキ選手がマットに沈み勝利のゴングを聞きながら、次の瞬間Beauregarde氏が膝を付くほどだった。

グランペコ級からはハイオーク族のHustle Takasaki。
Macho Takasakiの実兄に当たる彼は弟の敵を打とうと素早く、そして鋭い拳で
Beauregarde氏を追い詰めていったが、最後には「発勁」が決まり、Hustle Takasakiはコーナーの逆まで吹っ飛んだ。

ゴーレム級はブラッディーマーダー族のFreddy。
圧倒的な体力と攻撃力でBeauregarde氏を追い詰めていくが、Beauregarde氏の三段掌がFreddyの仮面を割り素顔が曝け出されると
やけに動きが鈍くなり、猛攻に出たBeauregarde氏にKO負けしてしまった。
どうやらFreddyはシャイだったようだ。素顔を見たものによると意外にハンサムだったらしいが。

ロードオブデス級を「深淵の騎士級」に修正させるのが夢だと意気込むのは、深淵の騎士族のShin。
しかし、試合開始早々Beauregarde氏に拳を叩き込まれた直後、白刃取りをされてそのまま試合終了。
結果判定勝ちでBeauregarde氏の勝利になってしまった。勿論、その後会場にはブーイングの嵐が。
Shin選手は余りのショックに引退を考えているという。

「長かった。自分の拳が最強であることを証明するためにあらゆる修行を積んできた。次は異種格闘技戦にも出場したいと思う。」
彼は授与式でそう語ってくれた。

◆ダンサー・バード部門

去年の11月のことである。首都プロンテラの酒場「コンドルの風切り羽」亭で以前から狩場や手柄を奪い合い、仲が悪いと有名だったギルド同士が同じ酒の席に座った。席には互いのギルドマスターも同席しており、酒場の空気は一気に張り詰めたものとなる。奇妙な緊張の中、ついに酔ったギルド団員の一人が相手のギルドを侮辱し、怒り狂った相手ギルドがその侮辱した男に詰め寄る。

あわや乱闘騒ぎに発展しそうになり、酒場の店主の息子が警備兵を呼びに行こうとしたその時だ。酒場の中にギターの音色が響いた。

ずっとカウンターの隅で酒を飲み、その場に居る誰もから酒場の風景の一部としてしか見られていなかったその旅の吟遊詩人の引き語りは、殺伐とした空気を和らげその場に居る誰もが彼の歌に聞き惚れたのだった。乱闘を始めようとしていたギルド団員達は胸倉を掴む手を、酒瓶を振り上げる拳を下ろし、吟遊詩人は見事その場を治めたのだった。

今回の賞を授与するに当たって、この噂を聞きつけた実行委員が彼を探し出し尋ねたが、残念ながら授与式への出席には首を縦には振らなかった。勿論、名前すら。

「俺は流離いの吟遊詩人。物語を語り継ぐのが生業なのさ。だから、俺自身が物語りになってはいけないんだ。」と、詩人はコメントしてくれた。

◆ローグ部門

モロクではアウトロー達が今日も抗争に明け暮れ、昼と変わらぬ熱い夜を過ごしている。利権を争い殺しが殺しを呼んで、ついには怨恨のみで彼らは報復に明け暮れる。

そんな暗黒に一人の若いギャングが終止符を打った。モロクの南部分の水と麻薬の利権を握る「サウスセメタリー」のボス、Bucket氏だ。

彼は無くなった先代ボスの一人息子であり、敵対するギルドと始めて話し合いによる交渉を持ちかけた人物だ。それまで彼らアウトローは、一度関係が拗れた相手とは絶対に再び手を結ばないというモロク暗黒街の古い仕来りに則っていたが、Bucket氏は違った。

こうして抗争に明け暮れている時もプロンテラの高官達が自分たちの利権を乗っ取ろうとしているとモロクに存在するギルドのボス達を説得し、今までの事は水に流すとして一先ず血なまぐさい日々を終わらせることに成功した。そのBucket氏が結んだ協力関係もいずれは崩れる日が来るだろうが、その功績を湛えて賞を送る。

◆アサシン部門

掃除屋としてギルドから放たれる暗殺者。今回受賞したのはそのアサシン達を一流に育て世に放つTeavee氏だ。

Teavee氏はアサシンギルドの教官として在籍し10年前に暗殺者を引退した後精力的にアサシンの育成に勤めている。所属しているメンバーが不明なアサシンギルドの中でその素性が明らかになっている数少ない人物である。

Teavee氏はとても友好的に我々を出迎えてくれた。今回の授与式にも快く出席してくれ、犯罪者にこの賞が与えられる事に対し好意的に思っていない者達から野次が飛ぶ中で次の様に応えてくれた。

「アサシンの技と伝統は古くから伝えられてきたものだ。そのルーツは古く、貴方たちが想像しているよりずっと昔からアサシンは社会の裏側を担ってきた。それは同時にアサシン達がこの社会にとって必要な存在だったという事を意味する。不必要なものが長く存続する筈が無いからだ(ここで一層野次が大きくなり、Teavee氏に物が投げられ始める)。

法で裁けない悪党、住民を扇動する邪教の教祖、そして私の三百万zenyもした新調のスーツにポーションを投げる不届き者。彼らに裁きの鉄槌を下し、社会をより健全なものにするのもアサシンの役割だということを是非忘れないで貰いたいものだ。

(この言葉の後、野次がぴたりと止んで会場が静まり返る。Teavee氏、にっこりと微笑んで)どうやら判っていただけたようだね。なぁに、今のはジョークさ。今日は月の出てない暗い夜だけれど、後ろを何度も振り返りながら帰路に着かなくても大丈夫。ただ、戸締りはしっかりとね。泥棒が入ったら大変だ。」

◆セージ部門

アサシン部門の受賞者発表は最後にしておくべきだったと大会運営者を嘆かせつつ、やけに静かな会場内で次に賞を受け取ったのはセージのVeruca氏。

彼女はモンスターが落とすカードのコレクターとして名高く、つい先日全てのCをコンプリートしたという。Veruca氏はカードが保存されたバインダーを得意げに見せ
「この瞬間の為にあらゆる手を駆使したわ。金、美貌、トレード、時には力づくで。これからも新種のCが発見されるたびに私はそれを手に入れる為にどんな手でも使うでしょうね。」と語った。

Veruca氏はジュノーにある総資産300億zenyを超える大手企業、ベルーカ社の社長の一人娘であり、そのコネと資産を最大限に活用してカードを手にしていったものと思われる。方法の是非を問う声は大きいが、全てのカードをコンプリートというのは前代未聞であり、彼女はたまたまジュノー魔法アカデミーに在学中だったので、セージ部門の大賞に選ばれた。

◆ウィザード部門

今回のウィザード部門受賞者はファイアーウォールを有効に使い、追撃魔法の時間を稼ぐ手法、所謂「縦ファイアーウォール」の技術の開発に携わったウィザード、Joe氏である。

Joe氏は若い頃から術の開発とその有効活用の研究に明け暮れ、様々な技を編み出してきた。全てのウィザードが彼に敬意を払い、最も尊敬されるべき魔術師としてその名は広く知られている。Joe氏は今年で164歳と高齢で、20年前に現役から退き今はゲフェンの片田舎で家族と共に静かに暮らしている。が、今でも何か問題が起きたときにはゲフェンウィザード評議会に意見を述べる立場で、その発言力は大きい。

Joe氏は「この縦ファイアーウォールは、私の嘗ての仲間だった魔術師達と共に長年かけて編み出した技です。彼らはもう私より先に亡くなってしまいましたが、現在も多くの魔術師の基礎となっていることに、天国で誇らしげにしていることでしょう。」とコメントしてくれた。

◆ブラックスミス部門

ブラックスミスのRex氏は過剰精錬のエキスパートと呼ばれている。成功率が低く、失敗すれば武具が破損し使い物にならなくなってしまう過剰精錬は、余程財力のある者や一攫千金を夢見るギャンブラーでも無ければ挑まない境地だ。過剰精錬に成功した武具は高値で取引される為、それでも挑むものが後を絶たないが成功したという話はあまり聞かない。

その中でもRex氏は神の右腕と称されるほど過剰精錬の腕前が高く、プロンテラ精錬所への就職が望まれる程だ。しかし何故か他の人に頼まれて精錬した場合は成功率が高くない。彼は「他人のなんか強くしても詰まらん。俺の装備だけ強ければ良い。」と、語る。

◆アルケミスト部門

アルケミスト部門で賞を受け取ったのは、シュバルツバルド国立アカデミー専門誌「Alchemy」に掲載されたエンブリオ細胞に関する論文で捏造があったいう疑惑が持たれているGan教授だ。彼はエンブリオ細胞に関する研究によってホムンクルスの実現に大きな貢献を果たしたとして2005年度のJobMasterアルケミスト部門受賞者の最有力候補であったが、捏造の疑惑が出てきてからは今年度の賞の授与を見送られるのではないかという声が大きかった。

しかし突如JobMaster選考委員会はGan教授にアルケミスト部門の賞を与えることを発表した。その理由について選考委員会は「捏造だなんて、実に錬金術師<ペテン師>らしいとは思わないかね?」と語っている。

まだ捏造だと決まったわけではなく、Gan教授や他の錬金術師の信用を著しく傷つけるものだとして多くの避難がJobMaster選考委員会に集中したが、選考委員の一人は「勘違いしてもらっては困るのだが、Job Masters祭はその職の中で最も世間を騒がせた、或いは貢献した者を選考するものだ。不名誉な賞も当然ある。もし名誉が傷つけられたと感じるのなら是非今年度は頑張ってくれたまえ。」と冷ややかにコメントを返した。

Gan教授の捏造疑惑についてはこちら⇒疑惑のエンプリオ


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