セイフティウォールの起源?

2005.12.05

今日は、首都プロンテラ在住のとある魔術師からセイフティウォールに関する興味深い投稿があったので紹介しよう。

魔力による防御壁を形成し、外部の攻撃から内部の者を守る魔法、SafetyWall。魔術師と聖職者という異なる職種が共に習得可能なこの魔法だが、その事に関して論争が起きている。

プロンテラ聖堂教会は、「SafetyWallは我々神に仕える者たちにもたらされる偉大なる守護の奇跡である。畏れを知らぬ魔術師たちは、魔術理論などという外法によって我々の奇跡を模倣しているに過ぎない。信仰心を持たぬ者たちが神を欺き、奇跡の恩恵のみを搾取することはまことにけしからん事である」と主張している。

これに対して魔術師ギルドは、「SafetyWallは我々魔術師の短所である防御能力の低さを克服するために独自に開発した技術である。念術系魔術として体系化された魔法のうちの一つであり、聖職者の使用するものと結果的に効果は同じであるが、それが発動するまでの魔術理論上の過程は全く異なっている。実際、聖職者は十分に経験を積んだプリーストしか習得することが出来ないが、我々魔術師は未熟なマジシャンであっても習得することが可能であり、我々の術式のほうがより効率化され、優れている。教会の抗議は全く筋違いだ」と反論している。

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ウィザードとプリーストのセイフティーウォル。
違いは全く認められない。

異なる職種が同じスキルを持つことは、ローグが弓手の一部スキルを習得できる、という例もあるが、これは弓手協会より追放されたアーチャーによってローグギルドに技術が売り渡されたことが判明している。では、このSafetyWallのケースではどうなのか?スキルの歴史に詳しいAccent教授(セージキャッスル:職業技術史学教授)によると、「記録によると、SafetyWallを初めて完成させたのはプリーストの故Elaine司祭であり、魔術師ギルドよりも早い。魔術学会で公式にSafetyWallが発表されたのはその2年後に念術系魔術研究の権威であった故Andrew氏によってである。このことから考えると、Andrew氏がSafetyWallを開発するにあたってElaine司祭の技術を参考にした可能性は十分あると言える。だが、発表当時の術式は現在のものとは多少異なるとはいえ、聖職者のものとは体系が異なっており、技術盗用とは言えないのではないだろうか」とのことである。

また、魔術師と聖職者が共通のスキルを持つことについてどう思うかを、一般の魔術師、聖職者に聞いてみたところ、全体の88%が特に気にしたことはない、と答えている。だが、職業別に見ると、魔術師では95%が特に気にしていないのに対して、聖職者では22%がスキル名を変更するなど、何らかの区別が必要と考えているという多少の温度差が見られた。これは魔術師は術によってもたらされる恩恵が重要と考える傾向が強いのに対して、聖職者は神の奇跡は相応の職業によって取り扱われるべきという考えがあるものと考えられる。また、聖職者の中でも冒険者として活動しているものほど、特に気にしない、という答えが多く見られるようだ。冒険者にとっては、SafetyWallが味方を守る手段として重要であり、どの職が使用するかということは重要でないのだろう。

思わぬところから発生した論争だが、教会上層部には、SafetyWallの優先使用権をプロンテラ王国裁判所に上申すべきという意見もでているようで、今後の情勢が気になるところである。だが、前述したように一般の魔術師、聖職者の多くは特に気にしていないようであり、聖職者内部からも「結局のところSafetyWall占有権を主張することで神の奇跡を分け与えるなどの名目で魔術師ギルドから寄付を求めるのが目的だろう」といった冷めた見方もでている。伝承によればElaine司祭は慈愛に満ちた人物で、全ての民を危険から守りたい、との一心でこの魔法を開発したとのことなのだが・・・


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