伝説の盗賊逮捕、馬車に引かれ指を失い…プロンテラ

2005.10.02

諸君はミッドガルドを騒がす「Diego」という盗賊をご存知だろうか?

金持ちや貴族の家に忍び込んでは誰にも気付かれること無く金庫から金を盗み出し、どんな錠前だろうと彼の手に掛かればものの数分で破ってしまう。最近ではミッドガルドでも五本の指に入る規模を誇るギルド「South Cemetery」の宝物庫から数々の財宝を盗んだことは記憶に新しい。その際、神器を盗まれたのではないかという噂もある。(以来、South Cemeteryのメンバー達は血眼でDiegoの行方を追っている。)

被害総額はこの数年間で凡そ三十億ゼニーにも及ぶという。

しかし決して貧しいものからは盗まず、また今まで一度たりとも人を傷つけたことは無い。そして盗んだ金の一部を貧しい人たちに分け与える義賊的なこともしており、その盗賊の美学からか貧民層、多くのシーフ、ローグ、そして冒険者や20代の若者を中心に強い支持を受けている。

各都市の警備保障団体は協力して彼を逮捕しようと追っていたが、今まで彼を捕まえることは出来なかった。彼は他にも数多くの富豪や貴族、ギルドから恨みを買い、また同業者達からも畏敬と共に「稼ぎすぎ」という理由で命を狙われている。

にも関わらず彼の首は鎖で繋がれることは無かった。 …つい昨日までは。

昨日、白昼堂々プロンテラのとある豪邸に忍び込み金品を強奪したDiegoは追ってきた警備兵から逃走中、ペコ馬車に轢かれそうになった少女を庇い、助けた。

その際Diegoの右手の指が馬車の車輪の下敷きとなり、彼は指を切断する大怪我を負ってしまう。数が足りなくなった己の指を呆然と見下ろすDiegoは追ってきた警備兵の姿を見ても逃げようとはせず、そのまま大人しく逮捕されたという。現在彼は病院で治療を受けている。

彼の治療を担当する医師は「残念ながら――というべきかどうかはわかりませんが、彼の指はもうヒールでも修復することはできません。彼はまるで放心したみたいで、頻りに「Diegoは死んでしまった」と呟いています。」と語っている。

これを受けてDiegoを支持する貧民層の住民達は彼の刑罰を軽くするように訴えているが、幾ら人を傷つけていないとはいえ彼の手によって盗まれた財宝の額はかなりのものになる。また貧民層にばらまいた以外のZenyは他の犯罪組織などに流れている可能性が指摘されており、最悪死罪も有りうるとのことだ。

だが、問題はそれだけでは無いと病院の警備にあたる兵士は言う。

「世紀の大盗賊と言われたDiegoが捕まったことで、かなり不穏な動きが出てきている。それもそうだ、彼が盗んだ財宝の行方は未だ知れないし、South Cemeteryの連中も盗まれた神器の在りかを吐かせたいだろう。おっと… これはただの噂なんだっけか?

とにかく、その財宝の所在の情報を聞き出そうと色んな奴らがこの病院を狙ってるはずだ。彼からその情報を聞き出せれば溜め込んだ財宝を横取りできるし、元々の持ち主達は何としてもそれを防ごうと躍起になる。South Cemeteryの連中が病院の周囲をうろうろしているもんでこっちは気が気じゃないよ。奴ら血の気が多いんだもの。

彼の刑罰に関して?残念だけど、法は法だから。」と、語っている。

プロンテラ警備保障は明日にも尋問を開始する予定。


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