先日、プロンテラにおいて起こったSchreiber商会の麻薬取引法違反の大逮捕劇に関連して、商会の依頼で麻薬デビルポーションの生成に関わっていたと疑惑の持たれるアルケミストギルド所属のSchmid容疑者(32)とKuhn容疑者(28)の2名について、騎士団は王国府と共和国政府との間に取り決められている犯罪者身柄引渡し条約に則って身柄引渡しを要求した。 共和国政府はこれを受諾したが、現在2名の身柄を確保しているアルケミストギルドのマスター、ビンセント氏が引渡しに拒否の姿勢を示したことにより、騎士団は今回の包囲に踏み切った。 現在、アルデバランの南門外に展開するプロンテラ軍と、共和国軍のアルデバラン守備隊がにらみ合いを続けている。 ◆プロンテラ軍、アルデバランヘ攻撃の可能性あり?! 騎士団本部は発表より24時間の期限を定め、これまでにSchmid容疑者、Kuhn容疑者の引渡しが実現しない場合は「ミッドガルド大陸に住まう全ての市民に対する犯罪」と明言して、包囲の軍をアルデバランに進め、2名の容疑者の逮捕を強行すると最後通告を行っている。 この通告に対してアルケミストギルド側はコメントを控えているが、Schmid容疑者、Kuhn容疑者はアルケミストギルド内で要職にあり、ギルド員保護の名目上、拒否する構えではないかと見られている。 今回の行為に関してシュバルツバルト共和国政府は遺憾の意を示し、アルケミストギルドに2名の引渡しを勧告するとともに、包囲を行うプロンテラ軍に対して即時に包囲網を解くように要求している。 また、ルーンミッドガルド王国府もプロンテラ騎士団の独走行為に批判的な対応を取っており、今後も各方面から批判が噴出することは必至だと考えられる。 この包囲の影響で、現在ルーンミッドガルド王国からアルデバランへの入る陸路は、包囲のプロンテラ軍によって封鎖されていて通行は不能。 ジュノーへと向かう北門も事態を見守るアルデバラン守備隊によって閉鎖処置がとられており、空間転送を扱う潟Jプラサービスはアルデバランへ行き来する転送サービスの一時的に停止する措置を発表。 ルティエへの転送を行っているショウタウン氏もこの状況にしばらくは転送を行わない旨を示している。 聖職者のワープポータルのみが現状アルデバランに入る唯一の手段となるが、アルデバラン側ではワープポータル使用制限措置が取られているとのことで、事実上片道のみにしか役に立たないようだ。 アルデバランは時計塔ダンジョンや、ルティエにあるおもちゃ工場の存在により、多くの冒険者が拠点を置いており、現在も約3千名の冒険者がアルデバランに取り残されている。 また、アルデバラン市民の生活への影響は計り知れず、はやくも生活消耗品の価格が上がり始めているとのことである。 【解説:デビルポーション】 正式名はスーパーポーション。アルケミストギルドの製薬部の開発による能力増幅剤で、現状のバーサークポーションを上回る効力があるとして期待された新薬であったが、強い依存性と連用することで状況認識能力の低下を招き、中毒患者が周囲に対して暴行を加えるなどの危険性が判明し、これを重く見たルーンミッドガルド王国府が中心となって危険な麻薬として指定、取り扱いを禁止した。 このときにマスコミ各社が『悪魔の薬』と取り上げたため、デビルポーションと呼ばれるようになり、正式名ではなく俗称の方が広く使われるようになった。 [Text by トウコ=ミツキ] |