不倫で起訴された女性、裁判で無罪

2005.07.23

別の男性と関係を持ち妊娠したとして、夫とその親族から起訴されていた女性が、「実は数ヶ月前ゲフェンに旅行に行った日の夜、インキュバスに襲われた。このお腹の子供はその時に出来たものだ。」と涙ながらに証言し、無罪を勝ち取っていたことがわかった。

この裁判はプロンテラのDouglas家当主、Nathan Douglasの妻Azary夫人が他の愛人との子供を身篭ったのではないかとの疑いをかけられ、先月から行われているもの。Douglas家はプロンテラの名門として長い歴史を持つ家だったので、この不倫騒動は世間の注目を集めていた。

Azary夫人の証言に対し裁判長は「夫人はゲフェンの宿に泊まった際、ゲフェニアから這い出てきたインキュバスに襲われてしまったのだろう。夫への愛を貫き貞操を守ろうと誓う彼女にとってこれ以上の悲しみは無い。それを思えば夫人は被害者である、彼女に刑罰を課すことなど私には出来ない。憎むべきは淫乱で恥知らずな悪魔なのだ。」と、裁判の後語った。

これに対し不服を唱えているのがNathan氏の母、Dina夫人だ。夫人は「彼女がインキュバスに襲われたなどという証拠はどこにも無い、狂言の可能性だって有り得る。そうやって口では上手いことをいって息子を誑かした女だ、きっとそうに決まってる。何故この件に関してきちんとした調査が行われないのか不思議でならない。」と猛反発している。

インキュバスとは悪魔でありデビルチやバフォメットなどと同列の種類に分類される。インキュバスは美しい男性の姿をしており、夜な夜な眠っている女性の部屋に現れては女性を襲い精気を吸うらしい。その目撃例はかなり少ないが、ゲフェニアで彼らの姿を確認したことがあるという冒険者の証言から主に其処に生息しているのではないかと言われている。またサキュバスという美しい女性の姿をした悪魔もおり、此方は男性を襲う悪魔のようだ。


冒険者が見たインキュバスとサキュバスの姿。
実在している以上Azary夫人の証言がまったくの嘘だとは言い切れない。

インキュバスと交わった人間が子を孕むのかという疑問に対しては、まだはっきりとした答えは出されていない。何しろ今回のように明るみに出る事例が少なく、被害者達は事件に関してあまり口を開きたがらない。そもそも事件があったかどうかも証明する手立ては無い。只、襲われたと証言している女性の多くは子を身篭っているので可能性は大いにあるだろう。問題はインキュバスに襲われたという女性が産み落とした子供だが、教会が引き取るケースが多いようだ。

ちなみに、自室に愛人を招きいれた男性が妻に不倫の現場を目撃され、咄嗟に「助けてくれ!こいつはサキュバスだ!」と叫んだが、二人分の鉄拳を食らってあえなく失敗に終わったという事件が過去にあったことも紹介しておこう。


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