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クルセイダーの秘密

2005.05.15

■クルセイダーとは

クルセイダーはやがて訪れる聖戦の為に、教会の敬虔な信者の中から特に剣に秀でたものたちを募り結成された聖戦士――というのは建前で、実際はミッドガルド各地で被害を広げつつある対不死者、対悪魔用に組織された戦闘部隊である。

便宜上教会がその指揮・管理を行っているが、結成には国側が税金の中から多額のZenyを投資しており、装備の調達や訓練、維持の費用なども国がその多くを負担していため、実際には教会側ではなく、国側が部隊を掌握していると言っていい。それはクルセイダーの長たるマスタークルセイダーミケル氏が教会ではなくプロンテラ城内に居る事から容易に推測できるだろう。

実はこのクルセイダー部隊の結成には国と教会による水面下の激しいやり取りがあったのではないかという噂が飛び交っている。

■武装神官

そもそも教会には強力な対不死者、対悪魔用の戦闘員が存在していた。
「武装神官」と呼ばれる人たちのことである。

彼らは僧服に身を包みながら、鈍器を片手に日々邪なるもの教化し続けている。彼らの為に教会は「ソードメイス」という刃物を使用してはならないという教義を曲げて黙認し、不死者が徘徊するピラミッドの奥深くやミョルニル廃坑、悪魔が多く巣食うゲフェニア、ニブルヘイムなどに武装神官を派遣している。

その効果は目覚しく、不死者・悪魔の三割は彼ら武装神官によって滅ぼされていると言われるほどだ。実は個々の戦力から言うと武装神官はクルセイダーと同等、時にはそれ以上の戦力を有し、これ以上対不死者、対悪魔の戦力が必要だったのかと問われればそれは疑問である。では、何故教会はクルセイダー部隊の結成を目指したのか。

武装神官は個々の戦力は高いが、軍事的な集団作戦行動等は苦手だ。また統率も取れておらず、軍隊のようにどこかに常駐しているわけでもない。

不死者・悪魔は強敵ではあるが彼らの殆どは知能が低く、武装神官達が特に集団で協力せずとも個人の力でどうにかなってしまうケースが多い。武装神官はそういった訓練を受けているわけでもないし、受ける必要もないのでこれは当たり前といえば当たり前だ。

反面クルセイダーはよく訓練され、統率力も高く、いざ有事の時には徒党を組み強力な戦力となる。しかしこれは、人間同士の戦いにこそ最も真価を発揮する力ではないだろうか。そう、教会が欲していたのは対不死者、対悪魔用の戦力ではなく、人間同士の戦いに備えたものだったのでは――。

■クルセイダーを巡る国と教会の取引

教会によってクルセイダーの配備の話が持ち上がったとき、プロンテラ騎士団をはじめ各方面から『教会には不必要な程強力で危険な力だ』と反対が起こった。教会はその反対を押し切って新戦力の配備を推し進めたが、ここに一つの大きな問題が浮上した。資金面での問題である。

教会は今まで以上に布施を称して資金を集めたがそれでも足りなかった。かといって今更この計画が頓挫すれば、それまで投資してきた金を溝に捨てることになり教会内から批判が起こりかねない。そこに国側が資金の援助の交換条件として、クルセイダー部隊の指揮権を一部譲渡することを教会に迫ったのではなかろうか。

初期に募ったクルセイダー以外は、その多くが教義とは掛け離れた行動をとるものが多い。ただ己の力と財を築こうとするもの、日々人間同士の戦いに身を投じるもの、そして何より大きいのは「聖戦に参加するか?」との問いに首を横に振るものが増えてきている。これは、クルセイダーが必ずしも教会の信者の中から選ばれた存在ではないことを意味している。

この話は全て只の憶測である。しかしクルセイダー部隊には色々と合点の行かない部分が多いのも確かだ。何故クルセイダーがプロンテラ城内に居るのか、教会が提唱する聖戦とは何なのか、何故更に対不死者、対悪魔の戦力を求めたのか。

クルセイダー達は今日も「聖戦に向けて」日々訓練を続けている。


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