ブラックスミス達の疑問

2005.04.20

武具をエルニウムやオリデオコンなどで精練すると、限界以上の能力を引き出すことができる。剣はより切れ味を増し、盾はよりその硬さを増す。精練には高い技術を必要とし、熟練の鍛冶職人でもその成功率は低く、行き過ぎた精練は失敗すれば破損のリスクもついてまわる。

しかし冒険者たちはより強い装備を求めており、過剰精練に成功した武具の数々は今日も高値で取引されている。

これに疑問の声を唱えるのはゲフェンにあるブラックスミスギルドのメンバーたちだ。本来なら彼らの専売である過剰精練に何故首を傾げるのか、それは彼ら鍛冶職人の武器に対する意識のせいである。

ブラックスミス達は自分が生み出した武器防具を自らの子のように愛情を注ぎ、もし壊れるようなことがあればそれを嘆き、悲しむ。それ故か破損するリスクを考慮した上であえて限界に挑戦する過剰精練に対してあまり良い考えを持っていないのだ。

とある鍛冶職人は「壊れるのを覚悟で装備に無理をさせるなんて、愛が無いな。自分が生み出した武器を自分の手で更に精練するのはまだわかるんだが…。アマツの人々は刀に己を、ルーンミドガッツ人は剣に神や信念を重ねるという。剣は騎士の命とも言われているしな。最近はどうか知らないけど。とにかく、全ての武器、防具には俺たちブラックスミスの魂が篭っているんだ。決して易々と過剰精練に挑戦していいものじゃあないのさ。ゲフェンのブラックスミスギルドに精練場が無いのはそのせいなんだ。」と語っている。

このブラックスミスの言うとおり剣や甲冑は人の精神を象徴するものであったが、近年は純粋にその有用性のみを追求するようになった。専門家は「日々拡大するモンスターの被害に人々の心の余裕がなくなり、実用性を重視するようになったのではないか。しかしこんな混乱の時代だからこそ、人間の精神は大事にしなくてはならないのだ」と語っている。


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