ホルグレン氏告発騒動とその顛末…プロンテラ

2004.10.31

精錬確率が不自然に低い、内心冒険者たちの精錬失敗を喜んでいるなど、不名誉な噂が絶えないホルグレン氏にこの度告発騒動が持ち上がった。

きっかけはプロンテラ市内で何者かによって撒かれた短いビラだった。ビラはプロンテラのとある有名精錬所の実態と題され、精錬所内で露店を構える女性ブラックスミスの匿名告発というかたちをとっていた。その内容とは、精錬所の親方であるH氏が客が持ち込んだエルニウムやオリデオコンをこっそり着服し、それによって客の精錬成功率を大幅に低下させたり、時には精錬失敗を偽装してスロット付き装備を自分のものにしていることさえあるという衝撃的なものであった。そして、それらのアイテムの大半がH氏の元愛人であるこのブラックスミスに贈り物として渡っていたというのである。更に彼女は恐るべき内情を語る。「彼は客からのクレームに対して、"この手の客は文句はいっても精錬し続けるから、適当にあしらっておけ"などと言っているんです。客を客と思っていないんですよ。」

冒険者たちがこの某有名精錬所親方が、かのホルグレン氏であると推測したことは理解に難くない。の噂は瞬く間にプロンテラ中に広まり、やがてホルグレン氏の精錬所に対するボイコット運動や、過去の損害に対する賠償要求にまで発展する気配をも見せ始めたのである。この記事に対してホルグレン氏は「大変遺憾、この記事の内容は事実無根だ。」とコメントしている。


問題のゴシップ記事。
2ページに渡って告発文が掲載されている。

しかしこの騒動に異を唱えるものが現れたのだ。ホルグレン氏の精錬所内で長年露店を構えるブラックスミスのN氏である。そう、彼女こそが告発文の主と目されていた人物なのだ(写真とビラを見比べて頂ければ、このモザイクの女性が彼女であることがお分かりいただけると思う。)

「この写真は私を意識しているのは明白だけど、私はこんな告発をした覚えはない。第一、本当に告発するならこんなわかりやすい写真の使用は許可しないわよ、客商売なんだから。私は精錬所のお客相手に商売をしているのに、精錬所を寂れさせて何のメリットがあるっていうの?確かに私のこと悪く言う人は居るけど、私は周りの露店から鉱石を仕入れて、ちょっとだけ高く売ってるだけなの。自分で自分の首を絞めるようなことしないってばさ。ちなみに、ホルグレン氏とはなんでもないわよ。彼は家庭思いの良いパパよ。」

このビラに書かれていることの真偽は定かではない。しかしここまで騒ぎが広まったのは、冒険者たちのホルグレン氏に対する根強い不信感が背景にあったのだろう。このブラックスミスも強気な転売や買占めを繰り返しているとして、一部の冒険者から反感を買っていたらしい。もしかしたら、このビラは冒険者たちの間で流れるホルグレン氏に関する噂や悪態を拾い集め、脚色したものだったのかもしれない。

この騒動の中でボイコット運動に参加していたある冒険者は語る。「このビラに書かれていることが根拠の無い噂だってことは薄々気付いていたよ。だけど根拠の有る無しは関係ない、ホルグレンが料金と信頼に足りるだけのサービスを行っていない、その事実が大事なんだ。自分たちが声をあげることでホルグレン氏を反省させたかったんだ。」

最後に一連の騒動に関し、プロンテラ教会のとある司祭が述べた言葉を結びに代えよう。「冒険者達がこのビラを容易く信じてしまった原因は、ホルグレン氏の普段の仕事ぶりにあるのかもしれない。しかし懸命な兄弟達よ、真実を見抜こうとする努力を決して怠ってはならない。ここに古の賢人が残した格言を記し、戒めとしたい。『人は欲するところのものを喜んで信じる。』では、良き冒険を。」


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