ルーンミドガッツには七不思議を初めとした様々な都市伝説が飛び交っている。初めまして、私はその伝説の由来や真偽を調査しながら各地を取材している記者だ(恥ずかしがりや故、名前は伏せさせていただく)。 今回は途中ではあるが、その調査の内容を記事にしてMNNを愛読して下さっている諸君にお見せしたいと思う。 これから紹介する都市伝説の中には、どこかで聞いたことがある・・・というような話ばかりのはずだ。それは自分で確かめたり実証したりしていないのに、真実として語り継がれているという都市伝説の特徴のせいなのである。「もしかしたらありうるのではないか」という考えが浸透し、多くの人に語り継がれ誰もが一度は聞いたことがある話となるのだ。 都市伝説は多くが偏見や嘘を孕んだ偽りのものであるが、その裏に見え隠れする人間の不安、恐れ、期待といった感情が見え隠れするのが面白い。ただの作り話と馬鹿にすることなかれ、都市伝説を深く知ることで貴方もその奇異な世界に引き込まれることだろう。 この記事を作成するにあたって協力してくれたA氏、V氏、N氏、R氏に感謝を。 ■首なしペコライダー
3年ほど前、何者かが首都プロンテラの路地にピアノ線を張り、ペコに乗って走ってきた騎士がそれに引っかかり怪我をする事件があった。ピアノ線は丁度首に引っかかる高さに仕掛けられていたが、幸いその騎士はアイアンケインを装備していたため、大事には至らなかったようだ。 やがて「首を刎ねられそうになったペコ騎士が居る」という話だけが一人歩きし、いつの間にか本当に刎ねられたことにされてこのような噂話が流れるようになったのだろう。 また、ワープポータルは体が完全にポータル内に入らないと転送は行われないようになっているので、体の一部分だけが転送されるという事は無い。 ■玩具工場の秘密 ある日、旅のアコライトが観光でルティエにある玩具工場を訪れた。工場内には玩具の兵隊や玩具箱などがあり、貧しい家に産まれ玩具の類は一切買ってもらうことが無かったアコライトは、子供時代を思い出しながら工場内を見学した。 ふと、そのアコライトは工場のあまり人目につかない方へと迷い込んでしまった。別段面白そうなものも無かったので引き返そうとすると、いつの間にか銃を構えた玩具の兵隊に取り囲まれていた。客を楽しませるイベントか何かかと思った瞬間、足元に一発の銃弾が撃ち込まれ、それがイベントでも余興でも何でもないことをアコライトは悟った。 アコライトはその後玩具の兵隊達に文字通り「連行」され、玩具箱に詰められてどこかに出荷されてしまい、奴隷として働かされているらしい。 子供が喜びそうな設計であるにもかかわらず、モンスターが徘徊し訪れたものを襲ってくる。そんな玩具工場のその見た目とは裏腹な危険性、異常性から、このような黒い噂が流れるようになった。 この話は全くの作り話だ。しかし、玩具工場は危険な場所であるために当然行方不明者も出ている。恐らく工場内のどこかで息絶えているのだろうが、こんな場所で行方不明になってしまっては、玩具箱に詰められて出荷されてしまったなどという話が出てくるのも頷ける。工場内に仕掛けられたベルトコンベアーがどこに続いているのかもわからない、ミストケースの正体も謎のまま、というのもこの話が広まる一因となったのだろう。 ちなみに、ベルトコンベア上で死んだ冒険者が玩具箱の中に紛れ込み、後に発見されるという事件は実際に起こっている。 ■詐欺、持ち逃げ犯名簿 最近詐欺、持ち逃げが多発しています。 ××××:装備を貸して欲しいというので貸したところ、そのまま持ち逃げされてしまった。俺のヒールクリップ返せ! ××××:数十M単位の取引だったのですが、「今持っている装備を売り払えば纏まったお金ができる。その後必ず支払うので、先に商品を渡してくれ」といわれてそうしたところ、そのまま帰ってきませんでした・・・詐欺だ! ××××:「お前の頭装備を貸してくれ、担保として他の頭装備を渡すから」といわれ、貸したのですが結局帰ってきませんでした。担保の装備を売ろうと思って相場を調べたら・・・何と!最初に私が貸した装備より安いものだったんです!酷い・・・。 被害者が続出しています、気をつけてください。家族、知人にも連絡してあげてください。 実際に名簿に掲載されている人物と連絡を取ろうとしても繋がらなかったり、詐欺、持ち逃げは全くの無実だったりする。第三者の文章を載せることで、話に真実味がでているのが面白いが、私怨で名前を付け加えた悪質な悪戯なのだろう(中には本当に詐欺や持ち逃げをした者がいるのかもしれないが。)そもそもこの手の犯行は自分の名前を偽るのが当たり前なので、鵜呑みにしてはいけない。 それにしても、本当にこんなのに引っかかるのかと疑いたくなるような内容ばかりだ。 ■夜は封鎖されているゲフェン塔、最上階
■モロクの肉屋でミミズの挽肉を売っている モロクの肉は安くて美味くて評判が高く、今日も多くの冒険者がモロクの肉を買い求めている。ある日モロクの生態圏を調査するためにジュノーからやってきたセージが、その肉屋の話を聞きつけて肉を買いにやってきた。丁度小腹が空いていたその賢者は早速香ばしい肉を頬張るが、肉の中に何かの目玉のようなものが入っていることに気がついた。 良く見るとそれは、モロクに生息するホードという巨大ミミズの目玉だった。セージは急いで食べたものを吐き出し、肉を売っていた商人に抗議した。商人はセージについて来るように言い、黙ってそれに従うとモロクの裏通りの方へと連れて行かれた。モロクの治安が悪いことを思い出し、そのセージは何かされるのではないかと急に不安になったが、やがてセージの前に肉屋の店主と思われる人相の悪い男が現れ、3万zenyを差し出してこう言った。 「このことはどうか内密に・・・。」 モロクはとても暑い地域であるため、肉は腐りやすい。なのにモロクの肉は日持ちが良く、もしかしたら何か特別な肉を使っているのではないか?と疑われてしまったのだろう(実際はただの燻製の肉なのだが)。それに治安の悪い無法地帯であるモロクなら、なんでも有りというイメージもある。 分かりにくいので補足しておくと、モロクの生態を研究していたセージだったからこそ使われている肉がホードのものであると見抜くことが出来た、という流れなのだろう。この手の話はリアリティを持たせようとして逆に説明不足になっているものが多い。 ところでこの話の中に出てきたホードの肉だが、実は結構な珍味で現地の人の間では定評があり、また漢方薬としても使用されるらしい。そのグロテスクな外見が気にならないという方は、買い求めてみては如何だろうか。 ■イズルードに人面魚? ある日イズルードの近海でボートに乗って釣りに出かけた剣士の釣竿が大物を捕らえた。吊り上げた魚は昼のご飯にするつもりだったので、その剣士は久しぶりのご馳走に喜んだ。しかし、剣士は力に自信があったにも関わらず、その魚もまた非常に力が強く暫く格闘が続いた。食い意地の張っていた剣士は力を振り絞り、根性で見事魚を船の上に釣り上げることに成功した。どんな魚なのかと思い剣士が近づくと、なんとその魚には人間の顔がついていた。そして剣士の方を見てこう言った。 「中々やるじゃねえか。」 剣士がぎょっとしている隙に、釣り針の餌を食い千切って海に姿を消したという。 この人面魚の正体には様々な説があり、ゲフェン魔術師ギルドが作り出した魔法生物だという説、錬金術師ギルドの非人道的な人体合成実験の産物という説などがある。 他にも「何するんだよ」「見てんじゃねーよ」と言うなど、バリエーションがある。この噂の出所は全く不明だが、イズルードには上半身のみがが人間のオボンヌ、下半身が人間の半漁人など、半分人間の姿をしている生物が多いためこのような話が飛び交うようになったのかもしれない。 それにしても「魔術師ギルドや錬金術ギルドの産物だ」という箇所は、世間が両ギルドに対してどのようなイメージを持っているかがわかって非常に面白い。 ■カプラロッカーベイビー
カプラ姉妹には謎が多く、また見ての通り姉妹という割にはあまり似ていないことから、このような噂が流れたのだろう。他にもカプラ職員がアリスと同じ自動で動く人形だという噂もあるが、カプラ本社はどちらの説も否定している。だが、カプラ倉庫に生後間も無い赤ん坊が預けられるという事件は実際に起こっており、その子供は教会が引き取り、無事に成長して現在は立派なプリーストとして教会に勤めているらしい。 |