半月程前から具体的な実装案が提唱されていたホムンクルス製造計画が、ここに来て暗礁に乗り上げている。 ホムンクルスは錬金術師達の手によって作られる人工生命体で、今まで長年に渡って研究が行われていたものだが、人権侵害、神への冒涜として、教会を初めとした各32の人権保護団体から多くの非難が浴びせられており、研究は思うように進んでいなかった。 そのホムンクルス計画も、シュバルツバルド共和国が生体工学研究支援を決定、各地に研究所を設立して、更に研究を推し進める事を議会で可決したことによって、多くの錬金術師達はホムンクルス実現に近づいたと喜びの声を上げた。 だが、この可決に異議を唱えているのが、ルーンミドガッツ王国である。シュバルツバルドで可決した生体工学研究案も、所詮他国で決められたものであり、ルーンミドガッツがそれを受け入れるとは限らない。トリスタン三世も「研究所を我が国に建設することを受け入れることは出来ない」と語っている。
ルーンミッドガッツ王国で研究が出来ないのなら、シュバルツバルドで研究すれば良いと考えた錬金術師達が、既にシュバルツバルド共和国に渡り始めている。シュバルツバルドはこうした知識の探求者達を歓迎し、受け入れる姿勢を示している。 だが、これに強い反発を唱えているのが、ルーンミッドガッツ王国の教会勢力だ。彼らは錬金術師達を「異端者」と非難し、ホムンクルス研究目的でシュバルツバルド共和国に渡ることを止めるよう呼びかけている。だが、シュバルツバルドへの訪国は基本的に自由であり、教会の言ってることは横暴だと逆に非難をする者もいる。 このような様々な問題を解決しない限り、ホムンクルスの研究が進むことは無い。ホムンクルスが我々の前に姿を現すのは、一体いつになるのだろうか。 |