国民に笑顔を、スマイルマスクサービス…国内

2003.08.09

トリスタン三世の提案により、スマイルマスクサービスが始まっている。このサービスは「国民に笑顔を!」ということで、明るいミッドガルド王国を築きあげるための計画であるという。しかし、誰も彼もがスマイルマスクをつけた姿は異様そのもので、住民の中には恐怖を感じているものもいるようだ。

「他人表情が全く読めないっていうのは、結構恐ろしいものだね。今までにもガスマスクとか、オペラ仮面とかで表情を隠す人は多かったけど、そういうのとはまた違った恐怖が、スマイルマスクにはあるんだ。きっと、笑った顔を模ったものだっていうのがよくないんだろうな」と語るのは、首都で露店商を営むRandyさん。

「笑う」という表情は、嬉しさを表現する以外に、しばしば自分の感情を隠す時に使う。そのせいか、常に笑った表情のままの「スマイルマスク」は、逆に他人に警戒心を与えてしまうのではないだろうか。ある心理学者は「現代の人間は、他人を傷つけたくない、自分は傷つきたくないという一心から、あまり自分の感情を表に出そうとしない。スマイルマスクを着用する者が多いということは、そういった現代人の心情を反映しているのではないだろうか」と語る。だが、単に手に入りやすいから着用している人が多いだけだと指摘する声もある。スマイルマスクは防御の面でも優秀で、駆け出しの冒険者が愛用しているようだ。


町に氾濫するスマイルマスク

スマイルマスクに関しては、もう一つ暗い話題がある。

各都市で活躍する犯罪者の中には、自分の顔を隠すのにこのスマイルマスクを着用している者が多く、先日もアルベルタの武器商店が、スマイルマスクをつけた強盗集団に襲われ、現金3000000zenyを奪われる事件が起きている。また、反対デモやテロ等でもスマイルマスクをつけ、笑いの絶えない明るい国にしたいという国王の意図を踏みにじることで、国に対して反抗の意思を示すこともあるようだ。

スマイルマスクは最早、国民にとって忌むべきものになりつつある。「国民に笑顔を!」という国王の目論みは、見事に外れてしまったようである。


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