進むミョルニル山脈の環境破壊…国内

2003.07.05

シュバルツバルドとの国境に位置するミョルニル山脈では、今日も魔術師達によるアルギオペ掃討作業が昼夜行われている。これはルーンミッドガルド・シュバルツバルド両国のよって行われているもので、双方の国を行き来することが出来る唯一の陸路に住み着いている凶悪なモンスターを一掃し、安全な国交ルートを築くためのものだ。ルーンミッドガルドは山脈の南側を、シュバルツバルドは山脈の北側をそれぞれ請け負うことになっている。南側の掃討は、「良い修練の場となる」と、ゲフェン魔術師ギルドがその担当に名乗りをあげ、彼らを中心に進められてきた。

しかし近年、彼ら魔術師の掃討作業によって、ミョルニル山脈近辺の環境が破壊されつつある。

魔術師のアルギオペ掃討の際、炎の柱で焼き殺すのが最も多く用いられている方法だ(氷結させ、稲妻で砕く方法もある)。しかし彼ら魔術師は、発動させた炎の柱は消火せず、そのまま放置してしまう。それによって山脈の森林が焼失し、生態系に大きなダメージを与えてしまっているようだ。今年に入ってからも、大規模な山火事が3件起きている。

シュバルツバルド生態調査団の報告によると、アルギオペ・アルゴスの数はここ数年で劇的な減少傾向にあるが、それは魔術師達の環境破壊による効果が大きいという。この事に対し両国では、今まで何度もこのまま掃討作業を続けるべきか否かを話し合ってきたが、具体的な結論は出ていない。無論、炎の柱を鎮火すれば全て解決するのだが、アルギオペ掃討作業中の魔術師は常に緊張していなければならず、一瞬の判断ミスが命取りになる。そんな状況で、自分が出した炎の柱を一つ一つ律儀に鎮火するのは非常に困難なようだ。


ファイアーウォールで戦う魔術師

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現在この問題を巡って、ルーンミッドガルドは大きく二つに分かれている。国交ルートの安全化による経済効果を期待する商人ギルド、シュバルツバルドの様々な技術を導入することによって、生産能力を高めようとする鍛冶ギルド、更に政府中枢部の殆どが、魔術師ギルドのアルギオペ掃討を支持している。

対して反対意見を唱えているのが、各環境保護団体や、炎の柱による煙害を受ける首都プロンテラ住民、そしてプロンテラ騎士団だ(彼らは魔術師ギルドのあら捜しに余念がない、今回も環境問題云々といったことはあまり考えていないだろう)。プロンテラ騎士団は「魔術というペテンの類に頼るから、生態系が崩れるなどという事体が起きるのだ。我ら騎士団に任せれば、生態系を破壊することなく国交ルートを確保してみせる」とコメントしている。

これに対し魔術師ギルドは「アルギオペは非常に危険な生物だ。いくら屈強な騎士団とはいえ、多くの死者が出るだろうし、掃討にかかる費用も馬鹿にならないのではないだろうか。中にはアルギオペなんて強敵に思っていない騎士もいるかもしれないが、そんなのはほんの一握りだ。その点我々魔術師ならば、まだ未熟な者でも充分にアルギオペを掃討することが出来る。我々魔術師が一番アルギオペを効率良く掃討できる。騎士団は余計な口出しはせず、我々に任せて欲しい」と、冷静なコメントをしている。

現在、国民の殆どがミョルニルの生態系破壊に関心を示していない。それだけ、シュバルツバルドとの国交ルート確保がもたらす恩恵が魅力的なのだろう。しかし、生物学者のOtis Doyleは「自然界というのは、絶妙なバランスで保たれているものであり、ミョルニル山脈の生態系の破壊が我々に何をもたらすのか、もう一度よく考えた方が良い」と、我々に警告を投げかけている。


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