フェイヨン弓手協会は、年々被害を拡大させているモンスターに対し、アーチャーやハンター達に火器を導入することの検討を開始した。 火器とは、筒に込められた火薬を撃針で強打することにより、弾丸を発射する武器のことで、非常に強力だが次弾を発射するまでに時間がかかり、単体で使用する分には弓より劣る。しかし多人数に火器を持たせた場合、撃つ者と弾・火薬を込める者に分かれ、交互に攻撃することによって、連続して射撃することが出来るため、非常に強力だ。ルーンミドガッツ王国ではあまり知られていない武器だが、貿易都市アルベルタに行けば、実物を見る機会もあるだろう。 しかし、ルーンミドガッツ王国内には、銃の技術は伝わっているが生産ラインは確立しておらず、銃を作れる技術者も数えるほどしかいない為、一部隊分の銃を用意するのも困難だろう。
この銃の導入に関しては、様々な方面から反対意見が唱えられている。先ず騎士団や教会からは、アーチャーギルドが過度の武力を持つことになるということから、導入を取り止めるように求めている。また王宮内からも、銃の横流しによってモロクの犯罪組織に、余計な力を与えてしまうのでは無いかと懸念されている。 弓手協会幹部は「我々も今すぐ導入しようと思っているわけではない。弓より劣る部分も多いし、何より発射速度の遅さがネックだ。だが我々は、狂暴化するモンスター達に対抗する術を常に模索する必要がある。それにこの銃だって、まだまだ改良の余地があると思う。暫くは、試験的に銃を扱う部隊を育成することになるだろう」と語った。 |