行方不明の女性がペットに?…フェイヨン

2003.03,29

「3年間行方不明だった娘が、冒険者に付き添って歩いている。」
そう報告を受けたフェイヨンの警備兵が駆けつけ、その冒険者を尋問した。
冒険者が連れ歩いていたのはムナックという不死者で、昨日キューペットサービスを利用し、
自分のペットにしたとその冒険者は警備兵に話している。

そのムナックには生前の記憶が残っておらず、家族の問いかけに対しても首を捻るばかりだったという。
だが、家族の話では、確かに行方不明の娘に間違いないということだ。
行方不明の娘は、3年前から買い物に出かけたきり消息を絶っており、家族から捜索願が出されていた。
どうやらその娘が何らかの理由で死亡、ムナックとして蘇り、
フェイヨンの洞窟をさ迷っていた所を、冒険者に捕獲されたようだ。

家族はその冒険者に死体の返還を求めたが、
冒険者は「捕獲するのに苦労した。それにこれは自分のペットなのだから、自分のものだ。
第一、このムナックが行方不明の娘だと言う証拠はあるのか。
ムナックは今高値で売れる、周囲の同情を誘って儲けようとしているに違いない。」と、これを拒否した。

警備兵も「これは非常に難しい問題だ。ペットはこの冒険者の所有物であることには間違い無い。
だが、この家族の言う事が本当なら、これは人道的に許される事ではない。家族の気持ちを考えるといたたまれなくなる。
しかし、この冒険者が言うように、このムナックが行方不明の娘であるという確固たる証拠が無い。
これは国や教会に判断を委ねるしかないだろう。」と語っている。

教会側は「無論、不死者をペットにするなどというのは、死者に対する冒涜だ。許されるべきではない。
この冒険者が聖職者ならば、直ちに罰を与え、このムナックの魂を解放することができるが、
残念ながらこの冒険者は魔術師であり、今の段階では我々にはどうすることも出来ない。
国王とよく話し合い、事態の解決に努力する。」と語った。

今まで不死者の対処は、聖職者による浄化が最善とされてきた。
遺族も「少し心苦しいが、それで天国に行けるなら」と、聖職者達の活動を容認していた。
だがそれにより、不死者に対する扱いは酷くなっている。
今回の、不死者をペットにするという許されざる行為も、
不死者に対する労わりの気持ちが薄れているからではないだろうかと、専門家は指摘している。

このムナックの遺族は「娘が、この冒険者にどんな扱いを受けているのかと考えただけで、いたたまれなくなる。
これからキューペット社と、この恥知らずな冒険者を相手取って、国に訴えを起こすつもりだ。」と、涙ながらに語った。

現在キューペット社は、コメントを差し控えている。

















































































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